裁判と時効の援用について

督促状が届いたら

 借金やクレジットカードの未払金の返済が遅れると、貸金業者や信販会社から電話やメール、郵便物などで「支払い期限が過ぎています」「残高不足で引き落としがされていません」「至急お支払いをお願いします」といった内容の連絡が来るようになります。
 最初のうちは比較的優しい表現での連絡であることが多いですが、それでも支払いができない状態が続くと、やがては「期限までにお支払いなき場合には、法的対応をさせていただきます」といったような厳しい表現にかわってきます。


 ちなみに、昔は「サラ金(サラリーマン金融の略称)」と呼ばれた業者からの借金を何カ月も延滞すると、電話で「早く返せ」と怒鳴られたり、強面のお兄さんが自宅や職場などに上がり込んで取り立てに来たりといったことがあり、さらにひどい場合は「家に火をつける」とか「内臓を売って返せ」とか「妻や娘を風俗に売り飛ばす」などといった脅迫的な取り立てが横行していた時期もあったようです。


 さすがに現在では、貸金業法などの法律が厳しくなったこともあり、一部の闇金を除いては、そのような取り立てをする業者の話は、ほとんど聞かなくなりました。


 しかしながら、債権者としては、貸金や立替金の返済を求めることは当然の権利であり、債務者の側も、いろいろと返せない事情があるにせよ、期限までに支払う義務があることは言うまでもありません。そのため、債務者が返済をしない期間が長くなると、債権者としては最終的には法的手続き、つまり裁判所に申し立てて支払督促や貸金(立替金)返還訴訟などを行うことになります。


 ただし、支払督促や貸金(立替金)返還訴訟には、それなりの手間と費用と時間がかかります。そのため、債権者としても、債務者が期限までに返済をしなかったからと言って、いきなりこのような法的手続きをすることはあまりせず、まずは督促状を送るなどして様子を見ることが通常です。督促状は、これもコストの問題もあり、最初のうちは普通郵便で送ることが多いですが、延滞時期が長いと特定記録や簡易書留となり、さらには内容証明郵便を利用することもあります。


 内容証明郵便というのは、郵便物の差出日や差出人、宛先や文書の内容を日本郵便株式会社が謄本により証明する特殊な郵便です。つまり、「この手紙をいつ、誰に、この内容であなたが出しました」ということを、国(総務省)から業務を受託している日本郵便が証明するものです。また、同時に配達証明も利用することで、その郵便物が配達された事実と配達日付を証明することも可能となります。


 内容証明郵便は、督促状としての効力は普通郵便と同じですが、督促をしたという「証拠」を残すことで、後日裁判になった時の証拠力を高めたり、債務者側からの時効の主張を阻止したりするなどの効果があります。一方で、差出には千数百円程度の料金がかかります。


 つまり、債権者が内容証明郵便を債務者に送り付けてきたときは、「これ以上延滞すると、裁判所で支払督促や訴訟などの法的手続きを取って、債権を回収しますよ」という最後通牒としての意味合いがあります。


 したがって、債権者から内容証明郵便が届くような段階になったときは(本来ならば、その段階になる前の方がいいのですが)、すぐにでも弁護士や司法書士などの法律家に相談することをお勧めいたします。

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