特定調停をお考えの方に

任意整理との違い

 任意整理は、弁護士や認定司法書士(法務省から一定の範囲内で交渉権限を認められた司法書士)が債務者の代理人となり、原則として裁判所を利用せずに、消費者金融やクレジット会社などの貸金業者に対して、借金の支払回数や支払期限の変更、将来利息の免除などを個別に交渉する手続きです
 一方、特定調停は、原則として債務者本人が、簡易裁判所に申立をして、裁判所選任の調停委員に仲裁をしてもらいながら、自ら消費者金融やクレジット会社などの貸金業者と交渉して、借金問題の解決を図る方法です。

 利息制限法に基づく「引直し計算」により借金の減額を行う点や、残った借金の分割払いを求める点は、任意整理と共通していますが、特定調停の場合には、期日には本人が裁判所へ足を運び、貸金業者との交渉を自ら行わなければならない点が、任意整理との大きな違いです

 さらに、任意整理では、弁護士や司法書士からの受任通知が到達すると、すぐに貸金業者からの取り立ては中止されますが、特定調停では様々な書類を揃えて裁判所に申し立てるまでは、債権者からの取り立ては止みません

 しかし、複数の債権者をまとめて申し立てられますので、任意整理のように「1社1社和解を取り付ける」といった手間は発生しません。

 また、利息制限法に基づく「引直し計算」を行った結果、借金はなくなり、逆に過払い金が発生することが判明したような場合には、任意整理では受任弁護士や司法書士がそのまま過払い金の返還請求を行うか、または訴訟手続に移行することになりますが、特定調停ではその手続内では過払い金の返還を業者に求めることが出来ず、別途過払い金返還の裁判を起こすか、あらためて弁護士や司法書士に過払い金返還の交渉を依頼する必要があります

 したがって、取引の期間がある程度(5年~7年以上)長く、過払い金が発生している可能性があるような場合には、最初から任意整理を選択する方が早いといえます。

 一方、「引直し計算」の結果、借金が残る場合には、特定調停では残った借金を原則3年以内に返済する和解を試みることになります。任意整理でも分割弁済の場合には、返済期間は通常は3年以内ですが、債務の状況や相手の業者によっては4年~5年の弁済を認めてくれる場合もあります。

 特定調停では、貸金業者との和解ができた場合には、裁判所で調停調書が作成されます。この調停調書には確定判決と同等の効力があり、債務者が調停調書に定められた返済を滞納すると、債権者が強制執行手続(給与の差し押さえなど)を容易にできることになります

 一方、任意整理の和解書には、通常はそのような効力はないため、和解後に返済を滞納した場合には、業者は別途裁判などの手続によって、財産の差押・強制執行を行うことになります。

 一般に、特定調停は弁護士や司法書士に支払う報酬を出せないが、平日に裁判所に行く時間はあるという方が利用することが多いようです。


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